私はこれまで、プレゼンで原稿を使うことは基本的におすすめしてきませんでした。
なぜなら、原稿(暗記したものでも、手元にあるものでも)に意識が向くと、どうしても「聴衆」ではなく「原稿」に集中してしまうからです。
そうすると、つながりが弱くなり、臨場感が減り、インパクトが下がります。
でも先週のプレゼンで、その考えが少し変わりました。
20年以上、日本でビジネスパーソンのプレゼンスキルを指導してきた私でも、難しいと感じる状況だったのです。
今回はその経験とともに、すぐに実践できるプレゼンテクニックもお伝えします。
難しかった理由
① 準備時間がほとんどなかった
急きょ登壇することになり、18時過ぎからの講演の準備を始めたのは当日の午後。(ギリギリまで他のことをしていたのは・・・はい、私です。)
② 100名以上の多様な聴衆
女性起業家、投資家、支援者など、立場も背景もさまざま。
人数が増えるほど、全員に響くメッセージを作るのは難しくなります。
③ 新しく、センシティブな内容
テーマは「女性起業家の失敗談」で、5分間のショートプレゼン。
私の前に登壇していたスピーカー(素晴らしいアラマキナナコさん)は、自身のバーンアウトの体験談を共有していました。
私もバーンアウトの体験談はありますが、以前に話したことがある内容です。
そこで、今回は少し違った視点のものを提供したいと思いました。
うまくいかなかった投資について、それがもたらした大きな経済的損失と、心身への影響についてです。
成功しているように見える人が弱さを見せることは、聴衆にとってとても力強いものです。
でも、当事者として話すのは簡単ではありません。
実際に、私は、「私のことを経験豊富で自信のあるプレゼンターと思われている方もいるでしょうし、このお話は小さな一歩に見えるかもしれません。でも、私にとっては、Helen史上最大のジャンプです。」と言ったほど。
準備時間が限られ、リハーサルもできない中で、話の一貫性を保ち、聴衆全体とつながり、伝えたいことをすべて覚えておくのは難しいことだとわかっていました。
私がしたこと
✔️ 自分にサポートを与えた
原稿が必要だと判断しました。
スライドはなしです。
そこで、絵本を持ち、中に原稿をクリップで留めるという方法を思いつきました。
長年の訓練があったからこそ、プレッシャーの中でも冷静に創造的になれました。
✔️ セットアップを事前確認
ハンドマイク使用。
片手に本、片手にマイク。
ジェスチャーは制限されます。
だからこそ、その前提で練習しました。
制約は、集中力を高めます。
✔️ 限られた時間でも練習
人は、練習の重要性を過小評価しがちです。
私たちの爬虫類脳は、不確実な状況を嫌います。
経験をシミュレーションすればするほど、心は落ち着いていきます。
そして、練習とは単にプレゼンを一度通すだけを意味するわけではありません。
私は:
- 鏡の前で本とヘアブラシを持って練習
- メイクをしながら音声練習
- 会場に向かう途中でイメージトレーニング
イメトレはスポーツ選手だけでなく、プレゼンをする人にも効果的なのです。
✔️ 振り返り
ナナコさんが送ってくれた動画を見て、
Going Great (うまくいったこと)
Do Differently (次に変えること)
で評価しました。
これは私が常にクライアントに教えている方法です。
結論
原稿なしがベストな場合が多いです。
でも、準備時間が少ない、聴衆が多様、内容がセンシティブ、そんなときは、原稿は「弱さ」ではなく「戦略」になります。
使うかどうかではなく、どう使うか。
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